亥年の神さま「摩利支天」

 

あけましておめでとうございます。

なんとなく摩利支天を描き始めたら、「あ亥年になるしちょうどいいな」と思ったので元旦に絵を載せることにしました。

天部の中ではややマイナーだとは思いますが、個性が際立っていてとても好きな神さまです。

陽炎が神格化された女神で、「摩利支」という名は陽炎、威光を意味するサンスクリット語の「マリーチ」に漢字をあてたもの。その姿は様々な形に表されるんですけど、今回の絵は三面八臂で、額に宝塔を載せ、それぞれの手には弓矢、戟、羂索×2(?)、針、金剛杵、アショーカ樹の葉を持ち、三日月の上に立ちながらさらにイノシシに乗るという要素てんこ盛りバージョンとなっています。(摩利支天ならではの持物、「針と糸」は悪人の目や口を縫い付け動きを封じるためのものだそうです)それと三面のうちの一つはイノシシですね。なんと独特なお姿なんでしょうか。

しかしこれだけはっきりとした特徴を持っていながらも、陽炎の女神ということでその姿には実体がなく、見ることができません。捉えられず、一切傷つけることができない隠形の身である摩利支天は、敵からの攻撃やその他の災いを退け勝利をもたらす軍神として戦国武将や忍者からも厚く信仰されました。像を造るにあたってはサイズが小さければ小さいほど良く、武将たちは小像を懐や兜の中に納めて戦場に赴いたのだとか。

「イノシシに乗る」というのは仏教の諸尊を見ても摩利支天のみだと思いますが、これがどういう理由によるのかはよくわかりません。日天の眷属として常にその前を疾走するらしいので素早さと力強さの象徴なんでしょうか。

さきほども述べましたが、摩利支天は実体がないだけあってその姿に様々なパターンがあるんですよね。今回の「三面八臂でイノシシの上に立つ女神」の他、「一面二臂で座る女神」、「三面八臂で七頭のイノシシに座る女神」、「一面二臂でイノシシの上に立つ男神」、「三面六臂でイノシシの上に立つ男神」などもう組み合わせが色々で、性別まで変わってしまったり。これら別バージョンの摩利支天もそのうち描きたいなと思います。

ひっそり拝まれる神さまということもあってか祀られている寺院も少なめですが、関東では上野アメ横の徳大寺が有名ですね。山手線からも「摩利支尊天」ののぼり旗がどーんと並んでいる光景が見えるので「あ、知ってる」という方も多いのではないでしょうか。こちらの摩利支天さまは「一面二臂でイノシシの上に立つ男神」姿。この徳大寺と、京都建仁寺塔頭の禅居庵、さらに金沢の宝泉寺を合わせて「日本三大摩利支天」と呼ぶようです。

そのほか私が行ったことのあるところで言うと、青梅市の常福院ではなんと山門にいらっしゃいました。小像であることがセオリーの摩利支天ですが、ここでは堂々とその姿を現してくれています。仁王的ポジションなのでサイズも特大。こんなに見えやすい摩利支天さまにはなかなかお会いできませんね。

亥年である2019年はこれらのお寺に参拝する方も増えそうです。皆様もぜひ開運勝利の守護神、摩利支天さまに注目されてみてはいかがでしょうか。